エレクトーンコンサート
2026.3.1

Photo by 田中大造
今回の『BURST of SOUL6』は“大人気曲集「Ado」のノンストッププレイと、6名のプレイヤーの個性光る楽曲がバースト!”と内容が一部事前予告されていたこともあり、開始前から満席の観客の期待もひとしおだ。
ステージ上に並ぶ2台のエレクトーンに、シルエットでスタンバイする2名の奏者。そして深く沈むドラムビートの後、激しいロックのビートで始まったオープニングは〈うっせぇわ〉。シンセサウンドの激しいビートとロックギターで煽る富岡ヤスヤのパフォーマンスに、「うっせぇわ」とSTAGEAフィルのマエストロ鷹野雅史が返す、激しいサウンドバトル。Adoさながらのパフォーマンスで、オープニングからボルテージを上げた2人の仲良しMCも手短に、曲集「Ado」のアレンジャー本人によるノンストッププレイがスタートした。
トップは中野正英の〈私は最強〉。サックスから始まるアップテンポのビートに客席からの手拍子が重なり、ポジティブなメッセージのような演奏が爽やかに疾走する。高田和泉が〈踊〉で続く。ラテンテイストのビートに乗って、STAGEAのシンセサウンドでダンサブルに仕上げられたナンバーで、会場はダンスホールと化した。そして倉沢大樹〈クラクラ〉。高速ビートのロックなナンバーが、倉沢の手にかかるとファンクでジャジーな要素も加わって、より重厚感の加わった楽曲に。
鷹野の〈新時代〉は、ロック色強い楽曲をSTAGEAフィルとの異種格闘技により一つのサウンドに昇華させたオーケストラバージョンで、会場のボルテージを上げていく。そしてヤスヤの〈唱〉。USJでもおなじみのエキゾチックなEDMナンバーがSTAGEAのサウンドで鮮やかに再現され、ノンストップライブの最高潮へと導く。メドレーの最後は窪田宏〈阿修羅ちゃん〉。Adoの楽曲と窪田のサウンドが見事に融合した1曲で、息をつく間もなく6曲の贅沢なAdoステージが繰り広げられ、この一体感を観客も心ゆくまで楽しんだ。
後半はSOUL6の個性光るステージへ。再登場した高田の1曲目は、盛大なオーケストラファンファーレから始まる〈Prologue to The Journey〉。落ち着いたテンポの中に芯の強さを感じるピアノのメロディーが心地よい、書き下ろしの新曲だ。続く2曲目はSTAGEAが誕生した時に生まれた曲〈a-live〉。ゴキゲンなサンバ調のリズムに乗ってギター、アコーディオン、管楽器が奏でられ、早くも初夏の訪れのような爽やかな風を届けた。
次に登場した中野は〈遠隣家族〉を演奏。“遠く離れても心はひとつ”な家族像をイメージして書かれた曲は、郷愁の歌心に溢れ、チェロのノスタルジックなメロディーも印象的な1曲だ。続く2曲目〈トランペットラブレター〉では、トランペットが紡ぐ溢れる想いをストリングスのシンフォニックなサウンドが包んでいく。映画のエンドロールを観るかのように、さまざまな想いが乗った中野ワールドが客席へと伝わっていった。
「エレクトーン界のMr.ジャズ」という紹介で登場した倉沢の1曲目は〈ロンドンデリーの歌〉。オルガン×ドラムのシンプルな編成を1台で奏でているだけなのに、ワクワクするセッション感。大人の余裕を感じるジャズライブを展開した。そして十八番のラテンジャズナンバー〈On Fire〉では、ビッグバンドの醍醐味である各種楽器のソロまわしや、ブラステュッティとドラムソロの掛け合いのスピード感で圧倒した。
次に鷹野が登場。「振り落とされないようシートベルトをお締めくださいね」というアナウンスからの〈バック・トゥ・ザ・フューチャー〉では、デロリアン号のハプニングまでもが音で演出されるSTAGEAフィルならではの映画時間旅行を堪能。続く70年代の映画『アイス・キャッスル』より〈Finale〉は、印象的なピアノのイントロから始まり、重なっていくオーケストラの滑らかなサウンドで会場がスケートリンクと化し、フリースケーティングを観ているような錯覚に陥る優雅な時間だった。
続くヤスヤは“昭和の洋楽”をテーマに〈Isn't She Lovely〉でスタート。楽曲のコードパターンはそのままに令和のデジタルサウンドでアレンジし、ヤスヤのボーカルにエフェクターでバックコーラス効果を加えたSTAGEA×ボコーダーのコラボに、観客は自然と手拍子で参加。2曲目〈セプテンバー〉で会場は2階席までスタンディング。ラテンファンクテイストが加わったダンサブルなアレンジに、サビは観客とのコール&レスポンスで大いに盛り上がる。
そしてトリの窪田は、Trio the Kの新曲〈Novel Cool〉でスタート。新発売のELS-03シリーズのドラム音源で作られたビートをPCから再生し、窪田がELS-02Cで重ねる。クラブジャズやブレイクビーツなどさまざまなダンスビートと、オルガンやデジタルが融合したサウンドは、ELS-03シリーズの可能性をも示唆。続く人気の〈Slap Rush〉は、“これぞHIROSHI.K!”のスラップベース&ドラムビートが炸裂! かっこいい圧巻のステージがあっという間に終わってしまい、鳴り止まない拍手からのアンコールに6人がステージに登場して応える。
恒例のトークでは、前半ノンストップメドレーで各々が感じたプレッシャーや、倉沢から鷹野の紹介間違いハプニング、そして「テンションが上がって盛り上がった」など、ライブならではの裏話も飛び出した。そして今回のアンコールはヤスヤの〈勝手にシンドバッド〉。会場が一体になって歌い踊り、目いっぱい楽しんで終演。Adoノンストップメドレーと、SOUL6の個性。2つの魅力を味わった、まさに音楽の贅沢。観客は大満足の様子で会場を後にした。
Written by 中川深捺
協力 月刊エレクトーン