ELECTONE CONCERT

エレクトーンコンサート

2024.3.31

【SUPER ENTERTAINMENT 2024「BATTLE X」】

  • 大阪サンケイホールブリーゼ
  • 三木楽器
  • 窪田宏、富岡ヤスヤ、鷹野雅史、倉沢大樹

Photo by 田中大造

5年ぶりの有観客開催は “爆笑とクールサウンドのコラボ”

待ちに待った、5年ぶりとなる有観客開催。2階席まで満杯の観客は、開演まで待ち切れない期待感で満ちている。“COOL MEN(窪田&倉沢) vs 幻のお笑いユニットファンキーソックス(富岡&鷹野)” “爆笑とクールサウンドのコラボ”と記された、プレイヤー2対2のバトル。オープニングは、1台のSTAGEAにスポットが当たり、モノトーンのクールな出で立ちの倉沢大樹による〈マイ・フェイバリット・シングス〉で切って落とされた。アフロキューバンのリズムに乗って、サックスソロやピアノのモントゥーノも映えるビッグバンドサウンド。その華やかな演奏に観客の熱気が重なり、会場は一気にヒートアップ!

「2022年は無観客ライブで拍手がなかった」と振り返るなど、MCを挟んでの2曲目は、一転して大人のジャズバラード〈イン・ア・センチメンタル・ムード〉。美しいストリングスのアンサンブルに、優しさと愁いが同居するトランペットのソロが乗り、妖艶なバラードが会場いっぱいに広がっていく。そして、倉沢本人が「自分のハードルを上げてチャレンジしました」と語る、渾身アレンジの〈インビテーション〉を初披露。スピード感あふれるラテンテイストのモダンフュージョンで、エレピやテナーサックス、ブラスサウンドと倉沢のテクニックが交錯し、観客もそのスリリングなジャズに引き込まれ、拍手喝采のステージとなった。

続いて、静まったステージで〈マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン〉をクールに演奏するのは富岡ヤスヤ。そして、その演奏に“自慢”のリコーダーで煽る鷹野雅史。期待の斜め上を行く(?)個性的な演奏で登場したのは、ファンキーソックス。その個性に、観客は笑いの渦に巻き込まれる。MCでは、演奏曲のアレンジ裏話や色違いの靴下についてのトークなど、こちらのユニットは早くも絶好調だ。

そして鷹野のソロへと続く。1曲目は〈レ・ミゼラブル〉。爆笑の会場が、一転して映画館と化す。鷹野の言う「映画の感想文」ストーリーに沿って奏でられるオーケストラの旋律に、馬のいななきや民衆の歌声も加わり、まさに長編映画のダイジェスト版を観ているかのような臨場感に包まれる。続いての〈ラデツキー行進曲〉では、客席に手拍子のプレッシャーをかける鷹野に、完璧に応じる観客。その一体感は、さながらSTAGEAフィルハーモニーのニューイヤーコンサートだ。2曲のゴージャスなオーケストラサウンドを堪能した観客から、マエストロ鷹野に惜しみない拍手が送られる。

次に登場したのはヤスヤ。三木楽器心斎橋店の電話番号(06-6251-4595)のプッシュ信号を用いた、ドラムキット音色によるビートに乗せ、超ダンサブルな〈ピック・アップ・ザ・ピーセズ〉でさらに会場のボルテージを上げていく。STAGEAから繰り出されるさまざまなボイスに、ヤスヤならではのファンキーな演奏で会場全体を巻き込み、観客の手拍子とコール&レスポンスで一体化。最高潮のまま、一気に2曲目〈山本リンダメドレー〉へとなだれ込む。70年代の歌謡曲が令和EDMへとリミックスされた、時代の融合アレンジ。幅広い年代の観客が一つになって、手拍子と掛け声でオールスタンディングのフェス状態と化した。

大きく盛り上がった後は、鷹野が再登場し“ファンキーソックスの爆笑・即興コーナー”。トークの中で、ヤスヤがこっそり(?)持参した100均アヒルのチーチー楽器をフィーチャーしての〈即興:チーチーコンチェルト〉が始まり、そこからなぜか〈チーチージャズ〉へと発展。倍テンの無茶振りやPAもリバーブで加わっての爆笑大即興大会が繰り広げられた(最後は靴下プレゼントのおまけも!)。

その笑いの余韻が残る中、ドラムのビートと共に窪田宏が登場。始まったのは〈The Final Edition〉。パイロット室屋義秀氏のエアショーに向けて作られた、疾走感あふれるナンバーだ。ドラムンベーステイストの入ったダンスビートに、エレピやベースソロもキレキレ、まさにエアレースに参加している感覚をも味わえる1曲だ。MCでは、年1回開催されるこのコンサートシリーズの長い歴史について、話す声を潤ませつつも、ファンキーソックス舞台入りの紹介忘れ(!)を指摘するジョークも忘れず、緩急織り混ぜた和やかな雰囲気の中、三木楽器コンサート歴代の“Love Songs”シリーズでも披露されたバラード〈Consideration〉へ。ソプラノサックスやフリューゲルホルンをフィーチャーした美しいR&Bバラードは、観客を心地よくチルしていく。すると、まだチルアウトじゃないぞ~とばかりにジャケットを脱ぎ、3曲目〈Pressure〉へ。エレクトリックギターとオルガンをフィーチャーしたロックテイストの楽曲で、再び盛り上げる。圧巻にカッコいいギター&ドラムソロは、まさにThe Kubota Show!窪田のクールとホット、その両面を堪能できる大満足のステージとなった。客席は、もちろんアンコールの大合唱!数々のハプニングが起こりながらも、まずは4人全員でトーク。そして激レアなユニット、COOL MENとファンキーソックスそれぞれがアンコールに応える。ファンキーソックスは、ジェフ・ベックの〈エル・ベッコ〉でゴージャスなロックを、COOL MENは2人の超洗練された即興イントロからの〈ザ・チキン〉を演奏し、大きな拍手の中、約2時間の幕が閉じた。帰路に着く観客の流れの中から「こんなライブは、また来たいね~」など余韻を楽しむ会話が響く。皆が充分にこの『BATTLEX』を楽しんだことは間違いない。

Written by 中川深捺

協力 月刊エレクトーン

プログラム

    • マイ・フェイバリット・シングス(R.ロジャース)
    • イン・ア・センチメンタル・ムード /デューク・エリントン
    • インビテーション(B. ケイパー)
    • マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン /セリーヌ・ディオン
    • レ・ミゼラブル(C.M.シェーンベルク)
    • ラデツキー行進曲(J.シュトラウス1世)
    • ピック・アップ・ザ・ピーセズ / アヴェレイジ・ホワイト・バンド
    • 山本リンダ メドレー
    • 即興:チーチーコンチェルト ~ チーチージャズ
    • The Final Edition / 窪田宏
    • Consideration / 窪田宏
    • Pressure / 窪田宏
    • エル・ベッコ/ジェフ・ベック
    • ザ・チキン(P.W.エリス)
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