エレクトーンコンサート
2019.3.3
Photo by 田中大造
8名のプレイヤーによる好評の『HIT PARADE』シリーズ
エレクトーン60thイヤーに8名のプレイヤーが競演! 見逃してなるものかと会場は超満員の大盛況となった。開演前から活気に溢れる中、オープニングは富岡ヤスヤ・鷹野雅史によるディープ・パープル〈Burn(紫の炎)〉。冒頭からボルテージの高い演奏で、会場の熱気も一気に急上昇。今回は“ヒット曲、ヒットさせたい曲”をテーマに8名のプレイヤーが各々選曲する、好評の『HIT PARADE』シリーズだ。
そのトップを飾るのは中野正英。〈Close to me〉では、アコギやピアノ等をフィーチャーした美しく歌い上げるバラードを。最新アルバム『いちばん、たいせつなもの。』に収録の〈郷邑(きょうゆう)〉では、日本の懐かしい田舎の素朴さをイメージしたモチーフを極上のオーケストラバラードに仕上げ、中野らしい瑞々しい感性のオリジナル曲を堪能する時間を満喫した。
続いては尾野カオル。十八番のクラブジャズで会場も一転クラブと化す。〈Ladybug Soul〉では、エレピやワウギター、ブラスが冴えるジャズファンクを。そして、オリジナルの新曲〈hustle-bustle〉は疾走感いっぱいのアッパーなハウスミュージックで、さらに会場をダンサブルにアゲていく。
3番手は“STAGEAフィル・マエストロ”鷹野雅史。昨年からの社会現象とも言える大ヒット映画のタイトル曲でもある〈ボヘミアン・ラプソディ〉と、オルガンで有名なバッハの〈フーガ・ア・ラ・ジーク〉を披露。オーケストラが演奏したらこうに違いないという圧倒的な再現力で、STAGEAフィルハーモニーの世界を壮大なスケールで繰り広げる。
次に倉沢大樹が登場。自身の中での定番というジャズアコーディオンとオルガンで、小粋なヨーロピアンスタイルアレンジの〈ノクターン〉と、スピード感マックスでキメキメのビッグバンドバージョンによる〈On Fire〉を披露。スリリングなジャズで会場を魅了した。
そして高田和泉のステージへ。アコーディオンとフラメンコギターをフィーチャーし、人の心の奥底にあるものを表現したという〈哀愁のアンダルシア〉。そして、海原をダイナミックにかける船のイメージが広がる爽やかなオリジナル〈Von Voyage〉では、高田のさまざまな音楽世界をカラフルに奏でた。
次に登場したのは岩内佐織。〈Mother Tree〉では、大きな愛に包まれるイメージをピアノとオーケストラの温かくも雄大なメロディーとサウンドで表現。NHKドラマ『氷壁』で使用されたリベラの〈彼方の光〉では、オーケストラにコーラスも加わった壮大なスケールの岩内ワールドが会場一杯に響く。
ここでオリエンタルなSEと共に富岡ヤスヤが登場。STAGEA に立つと、重厚感あるネオソウルサウンドが凝縮されたオリジナルの新曲〈OCCUPY〉を繰り出す。クラブフェスさながらのサウンドで圧倒すると、続く〈Sword Line〉ではテクノやダブステップなどさまざまなEDMシーンの要素を取り込んだビートで、さらに会場のボルテージを上げていく。
そしてトリは窪田宏。まずはウォーキングベースも冴えるファンキーな〈5000 Watt Power〉。そして恒例の書き下ろし〈make progress〉は、アッパーなダンスビートとメロディーメーカー窪田の真骨頂と言えるキャッチーな旋律で、ダンサブルにステージを締め括った。
1台のSTAGEA で繰り広げられる八者八様の音楽世界を堪能した客席からの満場の拍手に迎えられ、全員がステージに登場。さながら“STAGEAフェス”とも呼べそうなバラエティに富んだこの日のアンコールは、窪田の〈Slap Rush〉で大きく盛り上がって閉演した。
Written by 中川深捺
協力 月刊エレクトーン