ELECTONE CONCERT

エレクトーンコンサート

2022.3.6

【MIKI SPOT SPECIAL PRESENTS 2022「ヒットパレード」】

  • サンケイホールブリーゼ / ツイキャスプレミア配信
  • 三木楽器
  • 山﨑雅也、富岡ヤスヤ、鷹野雅史、尾野カオル、倉沢大樹、高田和泉、中野正英、窪田宏

Photo by 田中大造

“ヒット曲、ヒットさせたい曲”をテーマに各プレイヤーの個性が光る

コロナ禍の影響により3年ぶりの開催となった『MIKI SPOT SPECIAL PRESENTS 2022 HIT PARADE』は、初の配信コンサート。総勢8名のプレイヤーの“ヒット曲、ヒットさせたい曲”を順につないでいく「ヒットパレード」シリーズは、各プレイヤーの勝負曲オムニバスが、カジュアルなMCと共に聴けるというのが魅力。しかも、おなじみサンケイホールブリーゼの臨場感も楽しめる配信だ。毎回、どのデュオで幕を開けるのかも興味深いオープニング。今回は富岡&鷹野による息の合ったオープニングMCと共に〈ザ・キャット〉でスタート。開始からオルガンアドリブバトルという熱気に溢れる展開だ。

そして1人目は初登場の山﨑雅也。楽しみにしていたファンも多いことだろう。最初は〈海〉。沖縄の美しい海の壮大なエネルギーにインスパイアされた、ストーリー性あふれる多様な世界観がフュージョンされた1曲。続いて、クラビネットからドラム、オルガン等でファンキーに展開する〈Slugs and Snails!〉を披露。MCで「実はファンキーにうごめいているのかも?」と語ったように、カタツムリやナメクジたちの別の顔…という想像力を掻き立てられる、アシッドな大人のファンクで盛り上げる。山﨑から「クールでグルーヴ溢れる唯一無二のプレイヤー」と紹介され、登場したのは尾野カオル。まさにヒットナンバーの〈Liquid Sky〉を、エレピやブラスセクションが心地よい80年代テイストver.でグルーヴィに演奏。続く〈It Could Be Mine〉は20代の頃の作品で、音源になる機会を逃しているナンバー。ファンにも嬉しい1曲だ。「今の年齢のほうが曲に合ってきた」と語り、エレピやサックスに印象的なストリングスが絡み、R&B的なビートに乗ったチルなバラードを届けた。

続いて、誰もが認める“エレクトーンパフォーマー”富岡ヤスヤが登場。トランスやドラムンベース、ダブステップなどEDMビートが疾走する〈Sword Line〉から、ロックやEDMを融合しSTAGEAのエフェクトも効果的に使ったド迫力の〈Spoofing Attack〉へと、2曲連続でなだれ込む。後半のエレキギターによるソロは圧巻! まさにyaSyaサウンド全開のライブパフォーマンスだ。ビート炸裂の2曲の後、富岡の怪しげなストリングスとMCに導かれて、STAGEAフィル鷹野雅史が登場。仮面とマント姿で、納得の〈オペラ座の怪人〉を披露。会場横の大阪四季劇場にいるかのように、ステージがミュージカルの舞台と化す。そして、アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』から〈みちしるべ〉。「映画の印象を曲に再現した」と言う通り、ノスタルジックなメロディーとオーケストラ、そしてカタカタと響くタイプライターが、アニメの情景を再現していた。

バトンはジャズマスター倉沢大樹へとつながれる。ストリングスとピアノ、そして哀愁を誘うピアニカソロが印象的なジャズバラード〈虹の彼方に〉で、ステージをニューヨークのライブハウスに一転。続く2曲目は「前回の未発表曲」ということで、ビッグバンドサウンドの〈リパブリック讃歌〉。コロナ禍を経て、配信でのお披露目だ。ご機嫌なスウィングにトロンボーンやピアノのソロ、管楽器トゥッティがゴージャスなナンバーに仕上げた。6人目は、海外でもファンの多い中野正英。1曲目は、南の島や星に想いを馳せた〈美ら星ラプソディー〉で郷愁を誘う。ソプラノサックスのメロディーに洗練されたサウンドが絡むミディアムバラードが、心地よい空間を作り出す。そして「珍しいオーケストラver.」ということで、ストリングスの美しいイントロから始まる〈Leaving 〉。別れのシーズンに感じる、良き思い出と少しの寂しさが入り混じったエモーショナルなナンバーで、見送る側の想いを感動的に表現した。

そして今回のミューズ、高田和泉が登場。1曲目は、彼女自身はもちろんファンにも思いの深い〈Windscape〉。地元である港町・神戸のダイナミックな景色が、ピアノのメロディーで爽やかに表現された16ビートのナンバーだ。2曲目は〈雪月花〉。日本の四季折々の自然豊かな風景をイメージしたという新曲は、ピアノやチェロの美しいメロディーがワルツに乗って、日本の良き緑の風景を彷彿させる情緒あふれる1曲。高田らしさいっぱいのサウンドがステージに広がった。トリはもちろん、高田曰く「エレクトーンに愛される男」、エレクトーン界を牽引し続ける窪田宏。その1曲目は、コロナ禍の地元ライブで観客と共に12の音列から回を重ねて作り上げたという新曲〈Thanks!〉。80年代を彷彿させる爽やかなフュージョンに窪田サウンドが融合した、お洒落でオトナな楽曲を披露。そして2曲目は、数ある代表曲から〈Real Spin Kick〉。サックス、オルガン、ブラス、ウォーキングベース、ファンキーなビート、何をとっても“ これぞ窪田宏!”の真骨頂でクライマックスを迎えた。最後は、出演者全員がステージから画面の向こうのファンに向かってメッセージ&挨拶。その後、窪田のアンコールはリクエストの〈Vocalize〉でダンサブルに幕を閉じた。今回の配信コンサート、その楽しさに何度も“ おかわり視聴”したファンも多数いたのでは?

Written by 中川深捺

協力 月刊エレクトーン

プログラム

※1. 8. 9. 10. 11.以外はオリジナル曲

    • ザ・キャット(ジミー・スミス)
    • Slugs and Snails!
    • Liquid Sky
    • It Could Be Mine
    • Sword Line
    • Spoofing Attack
    • オペラ座の怪人(アンドリュー・ロイド=ウェバー)
    • みちしるべ(菊田大介)
    • 虹の彼方に(ハロルド・アーレン)
    • リパブリック讃歌(アメリカ民謡)
    • 美ら星ラプソディー
    • Leaving
    • Windscape
    • 雪月花
    • Thanks!
    • Real Spin Kick
    • Vocalize
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