エレクトーンコンサート
2005.3.6
名門ジャズクラブ・ブルーノートに豪華ミュージシャンが集う
毎年恒例となっている三木楽器主催のエレクトーンコンサート。いつも豪華な顔ぶれで行われるが、今年はさらに特別!なんとOSAKA Blue Noteに尾野カオル、安藤禎央、倉沢大樹、富岡ヤスヤ、窪田宏がそれぞれ共演者を伴なって集結、いままでにないステージを魅せてくれた。
大阪駅のほど近く、北区梅田の新しいランドマーク、ハービスENT。大阪四季劇場が入り、ショップもティファニーやグッチ、コーチ、ブルガリと超一流ブランド直営店がずらりと並ぶこの大型複合ビルの地下2階にグランドオープンした新しいOSAKA Blue Noteは、NYのジャズライブの空気をそのままに、最新最強のPAとなんとムービングライト12基も常設という、大きなホールでもそうは望めない照明機器を備えたステージが素晴らしい。しかし、何よりここが素敵なのは、おいしい飲み物を飲みながら聴く最上のライヴ、音楽だ。
このステージに、年1度、恒例となっている三木楽器主催のエレクトーンコンサートのスペシャル版として、初めてエレクトーンのトッププレイヤー5人が集結。それぞれがもうひとりの"相棒"を連れてのコラボレーションを披露するとなれば、1stと2ndの2セットともチケットは発売早々にソールドアウトし、期待の大きさをうかがわせた。本番当日、開場とともに客席も埋まり、華やかな雰囲気に包まれる。ライヴハウスの醍醐味は、ライヴを待つ間、飲み物を飲みながら同行の恋人や友人とリラックスした大人の雰囲気を楽しむところにもあるのだ。
1stセット、最初に登場したのは尾野カオル。エレクトーンプレイヤー随一のスタイリッシュなクラブ・ミュージックを聴かせた。Asa festoonのスキャットと言葉が楽器のようにたゆたい、時にはパーカッシブに絡むボーカルと尾野のSTAGEAサウンドが融合。エレピとアコースティックピアノ、オルガン、ブラスといった厳選された音色、緻密なリズムトラックが生み出す洗練された4つ打ち+グランドビートが新鮮で気持ちいい。都会的なライブハウスがよく似合う。
もう一組は安藤禎央と福岡ユタカ。1月にリリースした安藤のニュー・アルバムでも共演している声の魔術師とのコラボレーションは、安藤の作り出す世界観をより強力に伝えた。力強く激しいソロプレイ、懐かしさが滲むバラード、壮大な音空間…安藤のさまざまな心象風景を伝える楽曲に、福岡の声が絶妙に絡む。ムービングライトを駆使した照明も美しく、印象に残るステージとなった。
1stセットの最後は尾野&安藤のデュオによるスティーヴィー・ワンダーの「Over Joyed」でクローズ。
2ndセットは、時間を置きお客様を入れ替えて再開場。
一番手はジャズをエネルギッシュに聴かせる倉沢大樹。彼の地元・宇都宮のライヴ仲間で、一番信頼しているというテナーサックス岡田嘉満とのコラボ。倉沢が大好きだというアップテンポの飛ばしたナンバーでの息もつかせぬやりとりには、思わず聴いているこちらの表情もゆるんでしまう。
続くは、富岡ヤスヤのブルージーなロック。ブルーノートのステージにふさわしく、緊張感あふれる大人のアレンジで聴かせたブレンダ・ボーンとの「サマータイム」など、チャーミングでパンチの効いたボーカルとのコラボは、一夜だけの極上の味わい。富岡の懐の深さを実感する。
大トリは、窪田宏とアルトサックスを抱えた勝田一樹。KK JAMでおなじみのふたりによるインプロヴィゼーションは、自由でいて完成度の高い演奏。メロウなバラードにうっとりとさせられ、体を揺らすグルーヴにライヴの醍醐味が凝縮される。夜中にバーボンを飲みながら作ったという新曲も披露。エフェクトの効いたループ、アップテンポのファンキーなナンバーで、タイトルは「Perfect Game」。思わぬ素敵なプレゼントに客席からも大きな拍手と歓声が上がった。
この特別な日を祝うように、アンコールで倉沢、富岡、窪田の3人が「セサミストリート」をファンキーにセッションして、夢のようなライヴは幕を降ろした。 (文・編集部)(月刊エレクトーンより)
尾野カオル (M1・2・5・6…with Asa festoon)
安藤禎央 (M9・10・12…with 福岡ユタカ)
倉沢大樹(M2~5…with 岡田嘉満)
富岡ヤスヤ(M8~10…with Brenda Vaughn)
窪田宏 with 勝田一樹