エレクトーンコンサート
2000.3.5
ニューヨーク・ニューヨーク
有本香織、鷹野雅史、窪田宏のとびきりおしゃれなニューヨークの夜
開演まであとわずか。これから始まるステージへの期待がしだいに高まっていく。と、そのとき、トランペットの強烈なメロディーが静寂を破って私たちの耳に飛び込んでくる。いよいよ「MIKI SPOT SPECIAL PRESENTS "ニューヨーク・ニューヨーク"」の幕開けである。心憎いオープニングの演出に、ボルテージはのっけから100%!!
1部は有本香織が登場。息もつかせない3管+キーボードのバトルセッションで、ハートにぐいぐい迫ってくる! 2曲のオープニングのあとは、有本自らのMCで共演者のメンバー紹介。奥田章三(tp)、横山貴生(sax)、大迫明(tb)、いずれも強者ぞろいだ。有本と甘く切ないサックスの横山とのデュオで心地よさも浸ったあとは、全員でパワー全開の「NIGHT FLIGHT」を。落ち着いた大人の雰囲気とエネルギッシュな演奏スタイルを併せ持つ有本の魅力満開のステージであった。
2部は鷹野雅史。ここから彼の手によって、ブロードウェイ・ミュージカルナンバーを思う存分堪能した。圧巻だったのは「ウエストサイド物語メドレー」。ひとつひとつのシーンが鮮やかに脳裏によみがえってくる。改めて、彼のアレンジャーとしての力量を見せつけられた。
トリを飾ったのは、窪田宏。アイク・ネルソンが客席に現れ、大柄な彼の人なつっこい風貌とDJで会場のテンションが上昇。お膳立てができたところで、ステージにさっそうと窪田が!!いつもながらのかっこよさに、ファンでなくてもまいってしまう。アイクのごきげんなオリジナルの「JAZZY P」や、窪田のピアノとグレッグ・リーのベースの(さながら男と女を表現しているような)デュオでの「FIRST LOVE」、DJヴァージョンの「WALKIN'」と、また新しい窪田の音楽の魅力を感じたステージであった。
有本のビッグバンド・ジャズが・・・、鷹野のブロードウェイ・ミュージカルが・・・、窪田のスリリングでクールなジャズが・・・、ひとときのニューヨークを感じさせ、明日へのエネルギーをもらった一夜限りのぜいたくな時間であった。(文・田中道代) (月刊エレクトーンより)
Photo by 鈴木康弘