ELECTONE CONCERT

エレクトーンコンサート

1997.3.9

【MIKI SPOT SPECIAL PRESENTS ’97 YOU CAN GET “FUNKY・・・”】

  • 大阪W'OHOL
  • 三木楽器
  • I 富岡ヤスヤ+是方博邦(G)
    II 窪田宏+ザンドレ・ヤブロー(G)+アイク・ネルソン(DJ)

大阪なんば。老いも若きも集い、鼓動の感じられるライヴな街。
そんななんばの片隅のライヴ・ハウスでパワフルでスリリングなステージが繰り広げられた。

20世紀を代表する偉大なアーティスト、アンディ・ウォーホールの名前の付けられたこのライヴ・ハウスはH鋼やエキスパンメタルがむき出しになったポスト・モダンな雰囲気、これから始まるホットなステージを予感させる。

1stステージは富岡ヤスヤとギターの是方博邦という夢のようなユニットで、期待通りの本物のハードロックの世界というものを見せてくれた。始まる前から少し興奮気味の富岡は、「是方さんって本当にいい人なんですよ!今夜は期待してくださいね」と本当にうれしそう。一方是方は、「富岡さんのことは国府(弘子)さんからめちゃおもろいヤツだって予備知識ありましたから、楽しみにしていました。最高ですよ!」とこちらもいいテンション。

会場はいったいどんなライヴになるか全く想像のできない初顔合わせのライヴにファンがドッとつめかけ、わくわくとオープニングを待っている。
おそらく伝説になるであろうライヴが始まった。オープニングから5曲は富岡のソロ。ブルース・ハープのアドリブで暴れまくった「スキヤキ」、「せっかくだから椅子もとっちゃえ!」と踊りながらキメのコードを弾いて、オールスタンディングのライヴ・ハウスが縦ノリで熱狂した「Watermelon Man」など、頭から弾く側も見る側もぶっ飛ばしている。

そこでお待ちかね、ギターの是方博邦の登場。まさか今朝新幹線で初めて会ったばかりのふたりとは思えない、ギャグの応酬と息の合ったプレイに、2ndステージに出演するために、客席で観ていたアイク・ネルソンも、何度もうなずきながら、「富岡さんスゴイスゴイ!今度は僕と競演して!」とステージに向かってラヴ・コール

「カレハ(枯葉)」もこのふたりにかかっては、ギンギンのハード・ロックと化す。是方のディストーションのかかった泣きのギターと富岡の鍵盤上のギターでのツイン・ギター・ソロは圧巻!富岡オリジナル「Wash Out!」では、是方のカッティング・ギターに乗って富岡のソロが火を噴く。月エレのアーチスト・スペシャル・セレクションでも譜面掲載した富岡のフェイバリット・ソングの「Lady Violetta」もぜひこの機会に演奏して貰いたくて富岡が選んだナンバーだ。ミディアム・スローなラテン・テイストのアレンジは、熱い夏の夜のちょっとけだるい雰囲気がステキ。おなじみのスティーヴィー・ワンダーの「Isn't She Lovely」の後、ラスト・ナンバーはハード・ロックの王道ディープ・パープルの「Smoke On The Water」。ハードな重低音のヘビーなイントロ、ぞくぞくするスリリングなギター・ソロ。エレクトーンがこれだけハード・ロックできる楽器だなんて、誰が想像しただろう。

アンコールは窪田宏も加わってのブルース大会。CDデビューを果たし、ひとまわりもふたまわりも大きくなったプレイヤー富岡ヤスヤ。今年はこの最高のユニットで全国のファンを唸らせ続けることを願ってやまない。

なんとこの日はこの感動だけでは終わらずに引き続きビッグな2ndステージが用意されていた。窪田宏とDJアイク・ネルソン、ギターのザンドレ・ヤブローとおなじみのメンバーながら、今回は窪田の華麗なるベースワークを目の当たりにすることができて、プラス、ヴォーカルまで(これが結構ウマい!)聴くことができたり、いつものライヴとはまたひと味違った魅力にあふれていた。
DJアイクのソロから始まった2ndステージは、1stステージとは打って変っておとなの夜の世界。「Clap your hands! Clap your hands!」とフロアをあおって盛り上がったところで、窪田の登場。そのまま「CANTALOUPE ISLAND」、「EPISODES」と突入。アイクのソフト・ヴォイスがラップをきざみ、クールでタイトな空気が流れる。5曲目の「LET ME SWIM」はいつものライヴでは、ヴォーカル付きの曲だが、ここでは窪田のベース・ワークも披露し、アイクに乗せられてヴォーカルまで取ってしまった。思いがけないプレゼントにフロアも熱い拍手で応える。
ソロの「FOR HERBIE」でしっとりとしたあとは、新しくアレンジし直してスロー・テンポの曲に生まれ変わったニュー・バージョンの「ONE'S HEART」をソロで。NTTのコマーシャルの仕事で、いろいろな海の生物に合わせて曲を付けたときに、エイの映像にこの曲が使われたとのことだが、窪田自身は夜空の星の広がるなかで、スケートを履いて踊っている風景を思い浮かべながら作ったという。人それぞれ感じ方はいろいろだと思うが、後半にストリングスの転調で盛り上がる部分など、悠々とゆっくりと泳ぎ回るエイの姿を想像してしまった。イイ感じだ。
いつでも陽気なアイク、この日は「大阪おもしろいねぇ」とあいさつの後、窪田に向かって「最初にエレクトーンを弾いたのは何の曲?」、窪田が「太陽にほえろ」だと答えると、「それはどんな曲?」といって、窪田に弾かせてしまった。続いて、「次はどんな曲?」とたたみ掛けて、「ムーン・リバー」のさわりもぽろぽろと・・・。

後半はノリノリの曲が並び、ライヴもいよいよ大詰。新譜からの「GO FOR IT!」に続いて、窪田のベース・ワークがさえる、息も付かせずにまるでジェットコースター・サウンドのような「5000 WATT POWER」、ズンズンくるリズムを感じながらライヴ・ハウスが一体になった「THINK VALUE」とますます盛り上がり、「BRAKE DOWN」では興奮のるつぼと化す。アンコールは、「THE ELECTRIC FUTURE」。窪田ならではの目にも止まらぬキーボード・ワークがここでも光っている。痛いほどのリズムに、途中のブレイクが効果的で、思わず心地よい脱力感におそわれる。アンコールの2曲目、「THAT'S THE WAY」では、1stステージの富岡と是方も参加して、フロアもサビのリフを合唱して、一体となり、ステージは幕となった。

なんばの春の夜はすこしひんやりとしていて、ほてった顔に優しかった。 (月刊エレクトーンより)

Photo by Y.Suzuki

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