ELECTONE CONCERT

エレクトーンコンサート

1996.3.3

【SPECIAL LIVE IN OSAKA ’96】

  • 大阪厚生年金中ホール
  • 三木楽器
  • FIRST STAGE 中村幸代
    SECOND STAGE 窪田宏 アイクネルソン(DJ) つづらの敦司(Sax) 松本浩明(Tp) 大迫明(Tb)

Night in 大阪からひとつの夜のふたつの楽しみ~

片やホワンと身体ごと柔らかい絹布で包まれるような・・・、片や直接ハートを直撃するようなタイトでハードな・・・、そんな表現がぴったりの、音楽も正確も雰囲気も異なる意外な組み合わせのふたりの競演。

幕開けはシルキーな純白のパンツスーツの中村。
この日が3月3日ということもあって、彼女のテーマは地球と子供。さり気なく引き込まれる温かいメロディー。そっと側にいてなぐさめてくれる彼女のサウンドは、昨年から続く重苦しい出来事を癒してくれるかのようだ。
子供の声のSEから始まるこの日のための書き下ろし曲、「LITTLE EYES」は桃の節句にちなんで作られた。子供の目=Little Eyes。軽やかなギターが印象的な軽快な曲だ。でもなんといっても彼女が一番輝いて見えるのは、TVや映画の映像音楽を表現しているとき。松竹の音楽プロデューサーの耳に止まったきっかけの曲「THE ARCH OF THE HEAVENS」は後に映画「人でなしの恋」のテーマに発展した思い出の曲。オーディエンスのひとりひとりが各々の心のスクリーンに映像を浮かべることができたはず。天井から光を浴びて目を細める彼女が自信に満ち溢れて美しかった。

心身ともにリラックスした1部に続いての2部は窪田宏の登場。
この日のメンバーは大阪ヴァージョン。このコンサートの企画担当(本人もサックスを演奏するとか)の強い希望から、強力なホーンセクションが入った。三原善隆バンドでもおなじみのサックスプレイヤー・つづらの敦司が集めた関西地区最強のメンバーとは、大迫明(tb)と松本浩明(tp)。それに窪田バンドには欠かせないDJ・スクラッチにアイク・ネルソンが加わって、タイトにハードにキメまくる。ステージは一変してホットで男っぽい魅力で満たされた。新しい編成のための新アレンジが新鮮だ。
窪田の魅力は数々のアップ・トゥ・デイトなアレンジは言うまでもなく、メロディーにある。例えばハービー・ハンコックに捧げた「FOR HERBIE」は生まれながらに極上のスタンダード。どこからともなく英語の歌詞が聞こえてきそうな・・・、そんな衝動に駆られてしまうのだ。
3管の厚いブラスと厚いアイクのラップに窪田の縦横無尽なキーボード&ベース・ワーク。ラストの「RHYTHM BOXER」では中村がピアノで加わり、窪田とピアノの音色でアドリブのバトルを繰り広げた。

続くアンコールはハービーの名曲から2曲。おなじみ「WATERMELON MAN」と窪田のピアノと中村のELX-1のデュオで「hervest time」。「hervest time」は窪田のピアノソロから始まるしみじみと広がる心のサウンド。2部の興奮がウソのように、コンサートの終曲にふさわしい、心温まる1曲であった。(月刊エレクトーンより)

Photo by Y.Suzuki

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