エレクトーンコンサート
1995.4.1、2
即日結成、即日解散(!?) FUNKY SOX vs FUNKY FOX登場!
FANKY and JAZZY Night! 春の宴の夢の競演
加曽利康之と冴咲賢一のユニットFUNKY FOXと、そもそも富岡ヤスヤと鷹野雅史のパロディーネタのひとつだったうわさの"FUNKY SOX"がついに共演!!
"VS"という言葉がぴったりの緊張感の中で、奏法がそれぞれ秘密に内容を仕込み、本番を迎えた。
FUNKY FOX、1曲目の「君にデジャ・ヴ」「スキャンダル」・・・とあたまからテンションが高い。
意外にも彼らにとって、大阪では初の大ホールでのコンサートということで、気合いがMCからも伝わってくる。ふたりのコンビネーションバッチリのギャグで会場が沸いたあと、再び20本の指は鍵盤を駆け巡り、宙に浮いているように目にも止まらぬステップを踏んだ。
「Let's Vo*2」のサビのリピートで会場全体が盛り上がっているときに、突然暗転。数秒後ステージにライトが戻ると、あれ、なんか違う・・・。このひょうきんなノリは・・・・・・とよく見ると、FUNKY SOXに入れ替わっているではないか!これには会場中大爆笑。後半は、つい数日前までふたりで台湾ツアーを終えて帰ってきたばかりの富岡と鷹野が息のあった演奏とテンポのいいギャグを見せてくれた。R&Bを得意とする富岡と、クラシックが専門の鷹野。彼らにかかると"ひょっこりひょうたん島"も"You're my Sunshine"も鳥肌の立つほどのブルージーな泣かせのサウンドに変えてしまうから不思議だ。
アンコールは松田昌の「ニューヨーク・パッション・ストリート」を2日目の出演者の紹介を兼ねて雰囲気までそのままに、佐々木昭雄のオルガンワークを冴咲、窪田宏のオーバーアクションの手拍子を全員で、松田昌の"打"の真似を鷹野がパロディーでやってしまうetc・・・という徹底振り。
浪速っ子のハートをしっかりつかんだコンサートに大満足の一夜だった。
昨日が若者の熱いパッションだとすれば、今夜は洗練されたおとなの魅力。昨日が動なら今夜は静。それは、必ずしもスローな曲を弾く・・・という意味ではなくて、発散する快感と染み込む快感の違いとでも言えるような・・・。
窪田のソロ「Break Down」からスタート。「One way street」のピアノ・バージョンで魅せたピアノに向かう窪田がセクシーだ。
続いて松田とのデュオで、昨夜みんなを大爆笑させたあの「ニューヨーク・パッション・ストリート」が、窪田のアレンジで厚いブラスのサウンドに生まれ変わって演奏された。あたまのフレーズにまつわる話、ウェザー・リポートの「バードランド」に影響されて作ったこととか、「春よ、来い」に似ているとか、この曲をヒントに窪田宏は「キャンプ・ビートル」を作ったなどなど、誕生秘話(!?)も飛び出した。
松田が「ニューヨーク・・・」を演奏するのは、十何年ぶりとのことだが、確かに今の彼の境地はきっと今夜演奏している「はすの花」や「道」にあるのだろう。
「家族というものは、いつも互いにしあわせになれるように願って生きている。と言うことは、誰でも人にしあわせになってほしいと願われて生きていること。それをもっともっと大きく考えると、人間は守り合って生きているのではないかな・・・と思った」と話す松田の言葉に、今日忘れがちな一番大切なことを思い出させてくれたような気がした。
続いて佐々木昭雄のステージは、ドラマーも金子敏男を迎えて、よくコントロールされた極上のジャズ・オルガンの世界へと誘ってくれた。「ジンジャー・ブレッド・ボーイ」「ブルー・ムーン」と、ジャズオルガンの持つ、少しこもったあたたかい音色と、羽のような軽いタッチ。決して派手ではないのにすごい存在感に酔ってしまいそうな心地よさを覚えた。
ラスト・ナンバーは3人のセッションで"ドリナー"。のっけから6度の速いパッセージの連続にどきどきする。楽器が生きている!呼吸している!
アンコールは「スターダスト」ー静かな静かな星降る夜の夢のようなー 夜に吸い込まれるように幕が降りた。(月刊エレクトーンより)
Photo by T.Koizumi