ELECTONE CONCERT

エレクトーンコンサート

1989.1.29

【PUSH Beat ’89 窪田宏 project 4 EXCITING NIGHT】

  • 大阪郵便貯金ホール
  • 三木楽器
  • 窪田宏 project 4(G橘康博 B遠藤敬三 Dr木村万作)

"Happy Birthday to Hiroshi"あの、おなじみのハッピー・バースデーのメロディが客席から湧き上がった。鳴り止まぬアンコールの拍手に応えて、窪田が再びステージに姿を現した時の出来事である。あまりの突然のハプニングに、驚き、そして声援に包まれて、ちょっと照れたような微笑みを満面にたたえる窪田の姿が、ひときわ印象的であった。

このコンサート前日の1月28日、30歳の誕生日を迎えた窪田。彼にとって、プロジェクト4として今年初めて行うコンサート活動だけに、また30歳を迎えて初のステージであるだけに、この日はいつになく緊張の度合いが増したという。その窪田の心情を察してか、ギターの橘、ベースの遠藤、ドラムの木村の3人が、曲の合間にラフなおしゃべりでステージを盛り上げる。いつもながらの4人のチームワークの良さが、このプロジェクト4の魅力のひとつである。

しかし、この日の窪田の緊張は、プラスの方向に作用したようである。スターティングのメドレーから、とにかく演奏が引き締まっているのである。甘さやスキがなく、肉体に例えれば、贅肉が落ちて、スッキリと均整がとれているとでも言おうか、聴衆もカウンターパンチを喰らったかのように、しょっぱなから圧倒されてしまったようである。

続く、"SWAN LAKE"は力強さが一段と増し、"TRUE LOVE"は、演奏に広がりが感じられ、"STILL TOMORROW"は、曲自体のドラマ性が一層強調されたように感じられる。曲のイメージをさらにふくらませるために、間奏をオーケストラ風にアレンジしたり、ソロのベースを際立たせたり。スピーディーに突っ走る所は思いきりよく、じっくり聴かせる部分は粘って、そしてクライマックスは伸び伸びと開放する。窪田の音に、ベースが、ギターが、ドラムがからみ、お互いを触発しながらの演奏が実に小気味よい。そして、聴衆に息もつかせぬうちに、曲は"ESCAPE"へ。

コンサート後半は、多彩な音色で、聴衆をさらに音の渦の中に巻き込む。"アソシェーション"、"あいあいがさ"で、ジャズタッチのピアノや管楽器の突き抜けるような音を披露するかと思えば、"Won De"に続く5曲の中には、パワフルでユーモラスなひねりをきかせたドラムのソロ、聴きごたえ十分なギターのソロも折り込んで、まさに迫力満点。それぞれの曲の中に、サザンロックを思わせるような男っぽい味付けをきかせたり、インドのシタールを思わせる音色で、幻想的なイメージを加えたり。アルバム発売当初に比べてはるかにこなれた一曲一曲が、生き生きと輝き、聴衆に新たな感動を呼び起こさせる。ステージを重ねる中で、曲を育み熟成させていくプロジェクト4。音楽とは、プレイヤーが演奏のたびに序々に作りあげていくものだということをこのライブが証明している。 (月刊エレクトーンより)

▲チームプレイの息もぴったり合って、抜群の演奏

▲2人とも真剣勝負・・・といった顔つき

▲"ハッピー バースデー"の声援に顔をほころばせる窪田

▲ソロで聴かせるベース

▲この笑顔が人気の秘密デス!

▲ギタリストは、マイクを持つと意外やひょうきん

▲力強いドラミングでキメます

▲ファンもステージに駆け寄り、リズムにのって……

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